釣り魚のリスクを知っていますか?〜寄生虫編〜

ヒメマスの刺身

頑張って釣ったお魚、せっかくなら新鮮なうちに美味しくいただきたいですよね。
ですが、釣り魚には新鮮だからこその危険が潜んでいることを知っていますか?

それは寄生虫!

衛生環境がとても良い日本では想像しづらいかもしれませんが、寄生虫による健康被害は現代でもちょくちょくあるんです。
そして、その中のいくつかは不名誉なことに釣り人を中心に発生しているのです…。

しかし寄生虫の誤食は正しい知識があれば、かなりの確率で回避できるもの。
そこで今回は、釣り魚によく見られる寄生虫と、そのリスクを軽減する釣り人の知恵をご紹介します!

アニサキス幼虫

アニサキスってどんなやつ?

アニサキスは回虫目アニサキス科アニサキス属に属する線虫の総称です。
釣り魚の寄生虫としては最も有名なんじゃないでしょうか。
海産動物に寄生する寄生虫で、最終宿主はイルカやクジラなどの海産哺乳類とされています。

白くて細長いニョロニョロとした寄生虫のアニサキス。
1匹1匹はそんなにグロテスクな見た目ではありません(※意見には個人差があります byさ◯ま◯し)が、ウジャウジャうごめいている姿はもう鳥肌ものです…。

アニサキスの感染経路とアニサキス症

人間への感染は、主に中間宿主であるサケ・サバ・アジ・タラ・イカなどの魚介類を食べることで発生します。
もちろん、アニサキスは人間の体内では成体になることができないので、産卵されることはありませんが、アニサキスに感染するとアニサキス症を発症することがあるのです。

アニサキス症の主な症状は激しい腹痛や嘔吐、下痢のほか、ひどい場合には吐血まで!
彼らは胃腸を食い破って外に出ようとするので、激しい腹痛や吐き気に襲われる…ということだそう。
その痛みたるや、悶絶級…。
恐ろしいの一言です。

アニサキス症には胃で発症する胃アニサキス症と腸で発症する腸アニサキス症がありますが、いずれの場合も体内に入った虫を排出するのに有効な薬は見つかっていません。
万が一発症した場合、虫が体内で死去するまでの一週間程度、痛みに耐えながら日々を過ごすしかないのです。

しかも、症状がひどい場合や腸アニサキス症から腸閉塞や腸穿孔を発症した場合などは、緊急処置として外科手術が必要になるんだそうですよ…。

また、アニサキスにはアレルギーも存在します。
アナフィラキシー症状が引き起こされると、呼吸困難や意識消失といった重篤な症状があらわれて生命の危機に瀕することも!
いやはや、一生経験したくないものですね…。

アニサキス症の予防

では、そんなアニサキス症はどうやって予防するのでしょうか?
実は、ちょっとした手間でリスクを少なくすることができるのです。

①釣った魚はその場で下処理をする
通常、魚の内臓に住むといわれるアニサキスですが、魚が息絶えるとその胃腸を食い破って身の方に移動します。
中間宿主になるサバなどの魚を釣った場合には、その場で締め、エラや内臓を取り出してよく洗うことで可食部へのアニサキスの移動を阻止することができるのです。

②釣った魚は低温で管理する
アニサキスは6℃以下の水温では活動が極端に鈍ることでも知られています。
釣り場での処理が難しい小型の魚や内臓などの処理を終えた魚は、海水と保冷剤を入れたクーラーボックスで氷締めにしてしまいましょう。
保冷剤は500mlのペットボトルに水を入れて凍らせたものが便利。(特にいろ〇すみたいな薄手のものがgood!)

③よく加熱する
アニサキスは家庭用の冷蔵庫では冷凍しても死滅しない可能性がある程度に低温に強い寄生虫ですが、熱にはめっぽう弱くもあります。
70℃以上で瞬時に死滅してしまいますので、よく加熱して食べましょう。

④良く噛んで食べる
アニサキスは少し傷がついただけでも絶命してしまう弱々しい一面も持っています。
アジのたたきやなめろうなど、青魚に身を細かくたたいた料理が多いのは先人の知恵ですね。
お刺身は良く噛んで食べましょう。

⑤お酢の効果を信じない
よく「酢締めやマリネにすれば大丈夫」と言っている釣り人を見かけますが、ちっとも大丈夫ではありません。
お酢には殺菌効果があるので、サルモネラ菌や腸炎ビブリオ、ブドウ球菌などを殺菌することはできますが、寄生虫に対してはほぼ無力と言っていいでしょう。
柑橘果汁などでマリネにした場合も寄生虫には効果がありませんので、注意してくださいね。

あ〜る
でもさ、釣りたてのサバの刺身の味を知ったら生食やめられないよね…。
10回に1回くらいアタるんだけどさ……。



顎口虫幼虫

顎口虫ってどんなやつ?

さて、アニサキスに比べるとやや知名度が低いようですが、淡水魚には異次元のヤバさを誇る寄生虫がいます。

その名は顎口虫(がっこうちゅう)!!
顎口虫は旋尾線虫目顎口虫科に属する線虫で、日本で悪さをしているのは主に日本顎口虫と有棘顎口虫と言われています。

イヌ、ネコ、ブタ等を終宿主とする寄生虫なので人間の体内で成虫になることはできないけれど、幼虫に寄生されると「顎口虫症」を発症してしまう、非常に厄介な寄生虫です。
非常に小さな虫で、アニサキスとは違い目視での発見が困難なことも、危険度を高めていると言えるでしょう。

顎口虫の感染経路と顎口虫症

顎口虫症は、主に淡水魚や豚肉の生食などで顎口虫の幼虫を摂取してしまうことで発症します。
釣り人ではヤマメやブラックバス(!)を生食して感染した例が確認されているそうです。

また、海外(特にアジア圏)では日本国内より感染のリスクが高いとのこと。
ドジョウやライギョ、ヘビ肉のほか、飲料水からの感染例もあるというのですから驚きです。

顎口虫は人間の体内に入ると、まず胃壁や腸管を破って体内に入り込み、皮下に移動します。
そしてミミズ腫れやコブのような皮膚症状を繰り返しているうちに、臓器や血管に侵入されてしまうのです。
うぅ…ホラー漫画やんけそれ…。ありえん。。。

体内を縦横無尽に駆け巡る顎口虫が脳や眼球、血管に侵入すると、失明・脳障害・心筋梗塞などの深刻な症状を引き起こすことがあり、早い段階での積極的な治療が必須です。
アニサキスと違ってなかなか死去されないタイプの寄生虫なので、悠長に待っているわけにもいきません!

ちなみに、駆虫薬もあるそうですが確実性が保証されないので、外科的摘出が第一の選択肢なのだとか。
散々苦しめられた挙句に傷跡まで残るのではたまったものじゃありませんよね。

顎口虫症の予防

いったん感染してしまうと相当大変な思いをすることになる顎口虫。
ですが、ちょっと気をつけていれば予防は簡単です。

①淡水魚は生食を避ける
やはり何と言っても「淡水魚や豚肉の生食はしない」ことが最大の防御になります。
管理釣り場など釣った魚を生食できる場合はありますが、ネイティブ(野生)の淡水魚は生食を避ける方が無難です。

②よく加熱する
アニサキスと同じく顎口虫も熱に弱い寄生虫なので、加熱することであっさり天に召されます。
釣った魚は充分に加熱して食べましょう。
ちょっと変わったものが食べたい人は燻製もいいかも。

③調理器具はこまめに洗う
肉や魚の調理に使った包丁やまな板をよく洗わないと、同じ調理器具を使用した他の食材を通じて感染することがあります。
釣り場で使ったものを含め、釣り魚の処理を行った調理器具はこまめに洗浄や消毒をしましょう。
少し面倒ですが、肉や魚を調理する包丁やまな板を別にすると、より予防効果が高いです。

④お酢の効果を信じない
アニサキス同様、顎口虫にもお酢や柑橘果汁は効果がありません。

正しい知識で感染を防ごう

釣りを楽しむうえで、寄生虫のリスクはどうやってもついて回ります。

でも感染例の多くは「知らなかった」や「うっかり」が理由なんだそうです。
大切なのは正しい知識を持ち、適度な警戒を保つこと。

適切な処理をして、鮮度抜群の美味しいお魚を楽しみましょう!

サバ

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